昭和初期に刊行された地理大系で、下記のように全17冊で構成されています。このうち別巻の２冊は残念ながら欠落しています。当時の日本（樺太、朝鮮半島、台湾を含む）の自然地理、人文地理と歴史を解説しています。昭和初期の日本の地理的状況を知る上でも、また、日本領であった樺太と千島、朝鮮半島、台湾の当時の様子を探る上でも本地理大系は貴重な資料と言えるでしょう。「北海道・樺太篇」では、明治維新以前から開拓時代の歴史のほか、「樺太・北海道の人種」としてアイヌを含む先住民族について30ページ以上を割いて記述しているのが目につきます。別巻の「海外発展地篇（上,下巻）」は、南北及び中央アメリカが上巻で、表南洋（フィリピン、マライ半島）、大洋州、印度洋沿岸（インドとアフリカ）、支那、極東地方が下巻で解説されています。 この地理大系の特徴は、多くの写真を掲載していることです。例えば、近畿篇では500ページのうち写真ページは375ページに及び、地域の航空写真、歴史的建造物、伝統文化、庶民の生活、交通、産業など貴重な記録を伝えています。写真それぞれには、300〜500字の解説が付けられています。各巻の目次の前に、全巻を通じての編集委員名簿が掲載されていますが、それに加え「写真撮影技師」と「写真解説者」の名簿が掲載さていて、写真を特徴とした地理大系であることが分かります。また、いくつかの巻には、４ページの「日本地理大系月報」が挟まれており、出版社が力をいれていた証でしょう。 第1・2巻 総論篇 自然地理・人文地理 （２巻で１冊） 第3巻 大東京篇 第4巻 関東篇 第5巻 奥羽篇 第6巻 中部篇 上,下巻 第7巻 近畿篇 第8巻 中国及四国篇 第9巻 九州篇 第10巻 北海道・樺太篇 第11巻 台湾篇 第12巻 朝鮮篇 別巻 第1 山岳篇 第2 満洲及南洋篇（欠落） 第3、4 海外発展地篇 上,下巻 第5 富士山（欠落） この日本地理大系は、90年ほど前に刊行されたため、箱は年代色が付き傷や擦れがついています。しかし、この箱と当時としては良い紙質のため、中に収納された本の痛みはほとんどなく、きれいな状態です。しかし、目次との照合の結果、第6巻 中部篇（上巻）の「中部地方地質総図」と第7巻 近畿篇の「地勢交通図」の２葉が紛失していることが判明しました。こうした点をご理解の上、ご購入ください。